恋架け橋で約束を
帰り道
帰り道、孝宏君が色々な目印を私に教えてくれた。
私が一人でそれをたどって、あの秘密の場所へ行くことなんてないんだけど、なんだかこういう目印すらも、私たち二人だけの秘密みたいで楽しかった。
しばらく歩いていると、突然、私はクモの巣に身体を引っ掛けちゃったみたいだった。
「きゃっ、クモの巣っ!」
肩から上に、かすかにくすぐられているような不快感を感じる。
「大丈夫?」
駆け寄ってくれる孝宏君。
その時―――。
何気なく視線を左に移したところ、左肩の上に大きなクモが乗っていることに気づいた!
足が長く、身体の色は、黄色と黒の縞模様だ。
「きゃーーー!!!」
思わず声を上げる。
私は、虫が大の苦手なのだ。
昨日から、虫を見るたびに、この上ない不快感を感じていたことから、気づいた事実だった。
落ち着いた様子で、クモを払い落としてくれる孝宏君。
はぁ……よかった。
「ありがとう、孝宏君!」
そのときハッと我に返ると、私は無意識のうちに、孝宏君にぎゅっと抱きついていたみたいだった。
「も、もう大丈夫だよ」
優しく言ってくれる孝宏君の声は、心なしか小さく感じられた。
私は、急いで孝宏君から身体を離す。
「ごめんね……。虫がすごく苦手で、つい気がついたら……」
恥ずかしさと申し訳なさで、孝宏君の顔をまともに見れなかった。
顔がものすごく熱い。
孝宏君も少し照れているような様子だった。
でも、嫌がられているような様子ではないようなので、思わずホッとする私。
「ううん、気にしないでね。それじゃ、気を取り直して帰ろっか。また何かあったらすぐに教えてね」
孝宏君は私にそう言うと、再び道案内を再開してくれた。
それから先は特に何事もなく、スムーズに進むことができた。
「やっと神社が見えてきたね」
孝宏君の言葉を受け、私は前方に目を凝らす。
なるほど、たしかに、寒蝉神社の鳥居がかすかに見える。
「遠くまで連れ出してごめんね。お疲れ様」
「いえいえ、とんでもないです。すごく楽しかったです! 帰り道、目印まで教えてもらえたことも、とっても嬉しいです。また、連れてってくださいね」
「喜んでもらえて、よかったよ」
孝宏君の笑顔がまぶしかった。
「たくさん歩いて疲れたよね? モールでおやつでも食べながら、一休みしないかな?」
街中(まちなか)に出ると、孝宏君が言った。
「賛成です!」
そんなに、どっと疲れたわけじゃなかったけど、おやつは欲しい。
合計すると、多分三時間以上は歩いている計算になるはずだけど、不思議とそれほど疲れはなかった。
元々、私が体力あるほうなのか、はたまた、大好きな孝宏君と一緒にいるってことで疲れを感じなかったのか。
ともかく、私たちはまっすぐ、ショッピングモールへと向かうことにした。
モールにあるオープンカフェの椅子に着くと、アイスクリームを買いにいってくれた孝宏君。
「お待たせ」
「ありがとう!」
帰ってきた孝宏君からアイスを受け取って、一緒に食べる。
生き返る気分だ。
爽やかなバニラの風味が口いっぱいに広がった。
私が一人でそれをたどって、あの秘密の場所へ行くことなんてないんだけど、なんだかこういう目印すらも、私たち二人だけの秘密みたいで楽しかった。
しばらく歩いていると、突然、私はクモの巣に身体を引っ掛けちゃったみたいだった。
「きゃっ、クモの巣っ!」
肩から上に、かすかにくすぐられているような不快感を感じる。
「大丈夫?」
駆け寄ってくれる孝宏君。
その時―――。
何気なく視線を左に移したところ、左肩の上に大きなクモが乗っていることに気づいた!
足が長く、身体の色は、黄色と黒の縞模様だ。
「きゃーーー!!!」
思わず声を上げる。
私は、虫が大の苦手なのだ。
昨日から、虫を見るたびに、この上ない不快感を感じていたことから、気づいた事実だった。
落ち着いた様子で、クモを払い落としてくれる孝宏君。
はぁ……よかった。
「ありがとう、孝宏君!」
そのときハッと我に返ると、私は無意識のうちに、孝宏君にぎゅっと抱きついていたみたいだった。
「も、もう大丈夫だよ」
優しく言ってくれる孝宏君の声は、心なしか小さく感じられた。
私は、急いで孝宏君から身体を離す。
「ごめんね……。虫がすごく苦手で、つい気がついたら……」
恥ずかしさと申し訳なさで、孝宏君の顔をまともに見れなかった。
顔がものすごく熱い。
孝宏君も少し照れているような様子だった。
でも、嫌がられているような様子ではないようなので、思わずホッとする私。
「ううん、気にしないでね。それじゃ、気を取り直して帰ろっか。また何かあったらすぐに教えてね」
孝宏君は私にそう言うと、再び道案内を再開してくれた。
それから先は特に何事もなく、スムーズに進むことができた。
「やっと神社が見えてきたね」
孝宏君の言葉を受け、私は前方に目を凝らす。
なるほど、たしかに、寒蝉神社の鳥居がかすかに見える。
「遠くまで連れ出してごめんね。お疲れ様」
「いえいえ、とんでもないです。すごく楽しかったです! 帰り道、目印まで教えてもらえたことも、とっても嬉しいです。また、連れてってくださいね」
「喜んでもらえて、よかったよ」
孝宏君の笑顔がまぶしかった。
「たくさん歩いて疲れたよね? モールでおやつでも食べながら、一休みしないかな?」
街中(まちなか)に出ると、孝宏君が言った。
「賛成です!」
そんなに、どっと疲れたわけじゃなかったけど、おやつは欲しい。
合計すると、多分三時間以上は歩いている計算になるはずだけど、不思議とそれほど疲れはなかった。
元々、私が体力あるほうなのか、はたまた、大好きな孝宏君と一緒にいるってことで疲れを感じなかったのか。
ともかく、私たちはまっすぐ、ショッピングモールへと向かうことにした。
モールにあるオープンカフェの椅子に着くと、アイスクリームを買いにいってくれた孝宏君。
「お待たせ」
「ありがとう!」
帰ってきた孝宏君からアイスを受け取って、一緒に食べる。
生き返る気分だ。
爽やかなバニラの風味が口いっぱいに広がった。