恋架け橋で約束を

プラネタリウム

「わぁ、大きいね」
 プラネタリウムに入った私の第一声は、そんな月並みなものだった。
「でしょ」
 嬉しそうに言う孝宏君。
 ほんとに宇宙が好きなんだなぁ。

 プラネタリウムはまだ始まっていないので、球状の天井は暗いままだ。
 しかし、時間が来ると―――。
 数え切れないほどの星が現れた。
「すごぉい、綺麗~」
 何だか感動する。
 アナウンサーっぽい女性の声で、解説もついていた。
 私は熱心に聞き入りながら、なるべく多くのことを覚えようとする。
 孝宏君が大好きなこととなると、私も好きでいたいと思ったこともその理由の一つではあったけど、それだけでなく、純粋に星に興味を持ち始めていたこともまた大きな理由といえた。



「どうだった?」
 プラネタリウムが終わり、外に出たところで孝宏君が聞いてきた。
「最高でした。また来たいです!」
「うん、また是非来ようね。ところで、もう夕方だから、そろそろ秘密の場所へと出発しようか」
 気がつけば、もう六時を回っているそうだ。
 あたりはようやく、夕暮れの気配がしてきているところだった。
 しかし、暗くなってからだと、行くだけでも大変なので、私たちはまっすぐ向かうことにした。
 おしゃべりをしながら。



 神社を越え、王冠を拾った浅瀬も越え、私たちはまた木々に囲まれた道へと入った。
 前回、目印を教えてもらってあるので、私にも大体の道が分かる。
「次は右のほうに曲がるんですよね」
「うん、そうだね。佐那ちゃん、目印をしっかり覚えてくれてるんだね。一回教えただけなのに、すごいよ」
 褒められちゃった。
「いえいえ、大したことないです。目印を教えてくれてありがとう」
「どういたしまして」
 目印を探しつつ、私たちはどんどん奥へと歩いていった。
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