恋架け橋で約束を
第2章 7月2日
朝
そこで私は夢から覚めた。
気づけばもう朝の光がカーテン越しに入ってきている。
不思議で、どこか怖い夢だった……。
七月七日に記憶が戻るっていう部分は、もし本当なら嬉しいけど……後半部分が不吉で、かなり不安になってくる。
今日が二日だし、あと五日……。
お別れって……誰と?
孝宏君と?
そんなの絶対に嫌。
色んな意味でって……どういう意味?
夢はあくまでも夢だし、あんまり悩んでいても仕方ないとは分かっているつもりなんだけど、しばらく気になって、頭から離れなかった。
その後、私は支度をしてリビングへ降りていくと、すでにおばあさんが朝食の準備をしてくれていた。
おはようの挨拶の後、ささやかながら、私もお手伝いをする。
孝宏君も降りてきて挨拶を交わし、三人で朝食をとった。
おしゃべりしながら、楽しく。
朝食後、すぐに孝宏君は学校へ出発していった。
私は朝食の後片付けや、掃除、洗濯など、おばあさんのお手伝いをすることに。
少しでもお役に立ちたい一心で。
おばあさんによると、まだ警察からは何の連絡もないらしい。
私の家族、まだ私の失踪に気づいてないのかな……。
まさか……。
もしかして、記憶を失くす前の私が、家出の常習者で、「またいつものことだ。もうすぐ帰ってくるだろう」ぐらいにしか思われてないのかな?
でも、それなら一ヶ月ぐらい経てば、さすがに周りも「これはおかしい」と気づいて、警察に連絡してくれるはず。
不安は募るけど、自分ではどうすることもできなかった。
なので、今は一所懸命、おばあさんの家事のお手伝いに集中しようと心に決める。
「ほんとにありがとうね。佐那ちゃんはいい子だねぇ。すごく助かってるよ」
おばあさんの言葉に嬉しくなった。
「いえいえ、大したお手伝いもできてませんよ」
「ううん、すごく助かっててありがたいよ。ほんと、孝宏の嫁として、このままそばにいてやってほしいくらい」
おばあさんは昨日と同じようなことを言う。
私はすごく顔が熱くなる。
「孝宏のこと、どう思う? 好きになってくれないかい?」
「え? その……ご親切にしていただいて、おばあさんのことも、孝宏君のことも、すごく好きですよ」
「うーん、ちょっと困らせてしまったみたいだね、ごめんね。佐那ちゃんは記憶を失くして大変だというのに、あたしってば……。このこと、孝宏には内緒にしてね、お願いね。怒られちまうから」
おばあさんは急に申し訳なさそうな様子に変わった。
「いえ、そんな……。えっと、その、孝宏君とはまだ会ったばかりなので、お互いまだまだよく分からないことがありますが、孝宏君がすごくいい人だってことはすでに私にもよく分かっています。なので、その……好きですよ、すごく。ただ……孝宏君は私をどう思ってらっしゃるのか、分かりませんし……」
しどろもどろになってしまったけど、とにかくフォローしておきたくて、そう言った。
私が孝宏君のことを好きなのは間違いないから……。
ただ、おばあさんの言うとおり、私にとっては「記憶を失った」ということが重大すぎる問題として、頭の中の大部分を占めているというのもまた事実だった。
気づけばもう朝の光がカーテン越しに入ってきている。
不思議で、どこか怖い夢だった……。
七月七日に記憶が戻るっていう部分は、もし本当なら嬉しいけど……後半部分が不吉で、かなり不安になってくる。
今日が二日だし、あと五日……。
お別れって……誰と?
孝宏君と?
そんなの絶対に嫌。
色んな意味でって……どういう意味?
夢はあくまでも夢だし、あんまり悩んでいても仕方ないとは分かっているつもりなんだけど、しばらく気になって、頭から離れなかった。
その後、私は支度をしてリビングへ降りていくと、すでにおばあさんが朝食の準備をしてくれていた。
おはようの挨拶の後、ささやかながら、私もお手伝いをする。
孝宏君も降りてきて挨拶を交わし、三人で朝食をとった。
おしゃべりしながら、楽しく。
朝食後、すぐに孝宏君は学校へ出発していった。
私は朝食の後片付けや、掃除、洗濯など、おばあさんのお手伝いをすることに。
少しでもお役に立ちたい一心で。
おばあさんによると、まだ警察からは何の連絡もないらしい。
私の家族、まだ私の失踪に気づいてないのかな……。
まさか……。
もしかして、記憶を失くす前の私が、家出の常習者で、「またいつものことだ。もうすぐ帰ってくるだろう」ぐらいにしか思われてないのかな?
でも、それなら一ヶ月ぐらい経てば、さすがに周りも「これはおかしい」と気づいて、警察に連絡してくれるはず。
不安は募るけど、自分ではどうすることもできなかった。
なので、今は一所懸命、おばあさんの家事のお手伝いに集中しようと心に決める。
「ほんとにありがとうね。佐那ちゃんはいい子だねぇ。すごく助かってるよ」
おばあさんの言葉に嬉しくなった。
「いえいえ、大したお手伝いもできてませんよ」
「ううん、すごく助かっててありがたいよ。ほんと、孝宏の嫁として、このままそばにいてやってほしいくらい」
おばあさんは昨日と同じようなことを言う。
私はすごく顔が熱くなる。
「孝宏のこと、どう思う? 好きになってくれないかい?」
「え? その……ご親切にしていただいて、おばあさんのことも、孝宏君のことも、すごく好きですよ」
「うーん、ちょっと困らせてしまったみたいだね、ごめんね。佐那ちゃんは記憶を失くして大変だというのに、あたしってば……。このこと、孝宏には内緒にしてね、お願いね。怒られちまうから」
おばあさんは急に申し訳なさそうな様子に変わった。
「いえ、そんな……。えっと、その、孝宏君とはまだ会ったばかりなので、お互いまだまだよく分からないことがありますが、孝宏君がすごくいい人だってことはすでに私にもよく分かっています。なので、その……好きですよ、すごく。ただ……孝宏君は私をどう思ってらっしゃるのか、分かりませんし……」
しどろもどろになってしまったけど、とにかくフォローしておきたくて、そう言った。
私が孝宏君のことを好きなのは間違いないから……。
ただ、おばあさんの言うとおり、私にとっては「記憶を失った」ということが重大すぎる問題として、頭の中の大部分を占めているというのもまた事実だった。