bitter sweets
03. 蕩けそうな微笑 : 夏妃
いい匂いがする。
なんだろ、卵?ぼんやりとした意識がやがてゆっくりと浮上する。
フライパンで油がくつくついうのを耳が拾う。スマホに手を伸ばすと午前6時半。早。
もう一眠りしたくてゆっくりと体を反転させて、昨日の記憶が唐突に思い出される。枕に頭を押し付ける。
あいつー!はあっと思いきり息を吐き出すと枕が温かくなる。起きよ。私はベッドから体を起こす。どんなときであっても。どんなときであっても、いつも私はそうやって立ち上がってきたんだから。
がらりとリビングへの戸を開けると、フライパン片手の小寺が振り向いた。
「あ!夏妃!おはよう」
何人もの女をたぶらかしてきた甘い笑顔を向ける。頭を掻きむしりたくなる衝動に駆られるが、やめとく。後輩が一生懸命カットしてくれたんだから。
「チーズオムレツ作ったんだよねー。夏妃これ大好きでしょ?できたてだけど食べる?」
あからさまにあいつは私の機嫌をうかがっている。なぜか必死に振ってる尻尾が見えてくるんだ。
「こんな時間に?」
鋭く突っ込むと、しよしよとうなだれる。
「だってなんか、眠れなく……」と小寺はそこまで言ってあわてて言葉を切る。
「たこ焼きしか食べてないからでしょ。夜はちゃんと食べなさいよね」
なんだろ、卵?ぼんやりとした意識がやがてゆっくりと浮上する。
フライパンで油がくつくついうのを耳が拾う。スマホに手を伸ばすと午前6時半。早。
もう一眠りしたくてゆっくりと体を反転させて、昨日の記憶が唐突に思い出される。枕に頭を押し付ける。
あいつー!はあっと思いきり息を吐き出すと枕が温かくなる。起きよ。私はベッドから体を起こす。どんなときであっても。どんなときであっても、いつも私はそうやって立ち上がってきたんだから。
がらりとリビングへの戸を開けると、フライパン片手の小寺が振り向いた。
「あ!夏妃!おはよう」
何人もの女をたぶらかしてきた甘い笑顔を向ける。頭を掻きむしりたくなる衝動に駆られるが、やめとく。後輩が一生懸命カットしてくれたんだから。
「チーズオムレツ作ったんだよねー。夏妃これ大好きでしょ?できたてだけど食べる?」
あからさまにあいつは私の機嫌をうかがっている。なぜか必死に振ってる尻尾が見えてくるんだ。
「こんな時間に?」
鋭く突っ込むと、しよしよとうなだれる。
「だってなんか、眠れなく……」と小寺はそこまで言ってあわてて言葉を切る。
「たこ焼きしか食べてないからでしょ。夜はちゃんと食べなさいよね」