雨から雪
「ねぇ、この公園植物園があるんだよ」
真白がクルッと振り向きそう言った。
「植物園か~行った事ないな~」
と答える真白が行ってみよ?と、顔を覗き込みながら言う。
「うん、行ってみようか」
特に断る理由もなかったので行く事にした。
あれ?俺、真白に聞きたい事あるんじゃなかったけ? まぁ、落ち着いたらで良いか。
今は、なぜか真白との柔らかな時間を崩したくなかった。
「あっ。見えて来たよ」
真白が指を指す。
公園内に無料で入れる施設の割には随分、立派な建物だな。
入り口をくぐると色とりどりな植物が迎えてくれた。
真白は植物に詳しいらしく、この花はあ~でこの木は、こ~でと丁寧に説明してくれたが、俺は頷くのに精一杯だった。
園内を歩いて居ると1輪の花がなぜか目に止まった、それは紫と青が混ざった感じで涼しげで凛としてる花だ。
真白にこの花は?と聞いてみると真白は、教えてくれた。
「この花は桔梗の仲間…というよりは奇形に近いんだ、だから花びらも多いし香りも他の桔梗よりハッキリしてるの」
「じゃあ、花屋には並ばないの?」
「うん、本当は日本でも限られた場所にしか咲かないんだ」
「じゃあ、これは?」
「花を根っこから持ってきたんじゃないかな?だから、少し枯れ初めてる…」
そー言うと真白は寂しそうに俯いた。
待てよ、この花を俺は知ってる!間違いない!この花は、確か…ぇえ~と…そうだ!
灯籠祭りの時に灯籠に描かれてるのがこの花だ!花の名前は、確か…
「雪桔梗」
俺が花の名前で悩んでると真白がそう呟いた。
そうだ!雪桔梗だ!なぜ白くないのに雪桔梗なんだっけ…確かなんか由来が…
俺が、そう考えこんでると真白が顔を覗き込みながら、ニッコリ笑って行こ?と先を促したので俺は歩きはじめる事にした。
一通り見終わると。それなりの時間になり公園ないの人もまばらになっていた。
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