雨から雪
俺は、今日も雨の中いつもの道をいつもの時間に歩いていた。
いつもと違うのは、傘も挿さずに雨の中立っていた女性が居るぐらいだ
きっと失恋でもしたのだろうと思い横を通り過ぎようとした。
「待って!」
ん?俺を呼びとめたのかと振り返ると彼女の目は、俺をじっと見据えていた。
「呼びました?」
なぜ呼び止められたかわからない俺は、
愚直に聞き返した。
彼女は黙ったまま俺の目を覗きこんでいる
雨がビニール傘を打つ音だけの世界に居るような静寂な時間。
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