今も君が聞こえる
別れは突然で
どうしてこんなことになったんだろう
それしか浮かばないような突然の別れに、私は彼氏だった人を振りきるように、先輩にどんどん、惹かれていった。
言葉に出して、好きと言えるくらいに。
山上 涼 先輩
ノートに書いて、少し頬が緩む
ただ名前を書いただけなのに、彼が気付いたら、とかいう、しょうもない妄想もしてみたりした
ただ、彼を好きになって気付いたことが沢山あった
ライバルの存在だ
山上先輩は、演劇部によく顔を出す、演劇部に唯一いる三年生の先輩の親友だ。
山上先輩も三年生で、というか手伝ってくれる人はみんな三年生で
三年生には三年生のコミュニティがあり、そこには女子の姿もある。
演劇部に所属し、部長をしている早川先輩の友達、それは山上先輩以外にもいて、閣下と呼ばれている偉そう、なおかつ大人な考えをもつ下田先輩、チャラいし女子生徒に人気があり、なおかつ、女の扱いになれていそうな三浦先輩、そのメンバーに囲まれ、紅一点の太田先輩
そのグループはいわゆる仲良しグループだったのだろう。
そこにひっそりと加わっていた三年生が、私が掛け持っている合唱部のピアノ担当、黒須先輩
そして厄介なのが、おそらく、男性陣に嫌われているのに居座っている、女子生徒山田先輩だった。
彼女が居座っている理由はただひとつ、山上先輩と、お近づきになりたい
それだけだったのかもしれない。
ただ、太田先輩とは女子同士仲良くしていたようにも見えたけども、太田先輩本人からしたらどうでもいい存在だったようで、彼女が遊びに誘うところは見たことがなかった
山上先輩と付き合うためには
分析を始めた私の脳内が打算に染まる
出し抜いて、好感度をあげて。
一日ずっと、そんなことを考えて
挙げ句先輩方の関係をノートに書き出してから
部活に行った。
「佐藤さん!!誕生日おめでとう!!」
その声で、私の脳内の汚い計算は、吹き飛んでしまった
そこには、小さなケーキとプレゼントが並んだ机があって
「三年生」と、ノートに書き出した人たちみんなが、笑顔で待っていてくれたのだ
演技の話や舞台の話をしているときより
圧倒的に輝いた笑顔の先輩たちが、私に向けた瞳は
邪心や計算にまみれていた私から、すっかり邪気を吸いとってしまうほどに、
無垢だった
どうしてこんなことになったんだろう
それしか浮かばないような突然の別れに、私は彼氏だった人を振りきるように、先輩にどんどん、惹かれていった。
言葉に出して、好きと言えるくらいに。
山上 涼 先輩
ノートに書いて、少し頬が緩む
ただ名前を書いただけなのに、彼が気付いたら、とかいう、しょうもない妄想もしてみたりした
ただ、彼を好きになって気付いたことが沢山あった
ライバルの存在だ
山上先輩は、演劇部によく顔を出す、演劇部に唯一いる三年生の先輩の親友だ。
山上先輩も三年生で、というか手伝ってくれる人はみんな三年生で
三年生には三年生のコミュニティがあり、そこには女子の姿もある。
演劇部に所属し、部長をしている早川先輩の友達、それは山上先輩以外にもいて、閣下と呼ばれている偉そう、なおかつ大人な考えをもつ下田先輩、チャラいし女子生徒に人気があり、なおかつ、女の扱いになれていそうな三浦先輩、そのメンバーに囲まれ、紅一点の太田先輩
そのグループはいわゆる仲良しグループだったのだろう。
そこにひっそりと加わっていた三年生が、私が掛け持っている合唱部のピアノ担当、黒須先輩
そして厄介なのが、おそらく、男性陣に嫌われているのに居座っている、女子生徒山田先輩だった。
彼女が居座っている理由はただひとつ、山上先輩と、お近づきになりたい
それだけだったのかもしれない。
ただ、太田先輩とは女子同士仲良くしていたようにも見えたけども、太田先輩本人からしたらどうでもいい存在だったようで、彼女が遊びに誘うところは見たことがなかった
山上先輩と付き合うためには
分析を始めた私の脳内が打算に染まる
出し抜いて、好感度をあげて。
一日ずっと、そんなことを考えて
挙げ句先輩方の関係をノートに書き出してから
部活に行った。
「佐藤さん!!誕生日おめでとう!!」
その声で、私の脳内の汚い計算は、吹き飛んでしまった
そこには、小さなケーキとプレゼントが並んだ机があって
「三年生」と、ノートに書き出した人たちみんなが、笑顔で待っていてくれたのだ
演技の話や舞台の話をしているときより
圧倒的に輝いた笑顔の先輩たちが、私に向けた瞳は
邪心や計算にまみれていた私から、すっかり邪気を吸いとってしまうほどに、
無垢だった