フェイント王子たち

「どうしても自分の携帯でかける気?」

「当たり前でしょ。ほら」

「ちっ。はい、どうぞ」

美沙から返って来た名刺の裏側を見ながら電話をかける。ん〜、ちょっと緊張するなぁ。でも、アパート決めましたって言うだけだもんね。変に緊張する必要はないよね。よし。

「…」

5コール過ぎてもまだ出ない。

「出ないの?」

「うん、仕事中なのかな?」

…。10コール待ってまだ出ない。ここは一旦切った方がいいよね。

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