フェイント王子たち
「違うの?」
「だって、見て」
私は、今、昭次さんを呼んだアラフォー女性を小さく指差す。
「あの人も、その横の若い2人組の女の子も、テーブルの方からずっと見てるアラサーの2人組も、きっと全員、昭次さん目当てだと思う」
美沙も私が言ったお客達をさりげなく見渡す。
「ん〜、確かに。特に、テーブル席の二人はかなり熱そうだね」
「でしょ?こんな所で『彼女います』なんて、言わないでしょ?」