フェイント王子たち
「アリおば」
「ん?」
カップの泡を洗い流して、フキンでカップを拭きながら大吾の方を振り返る。
「俺に言う必要はないけど、川合さんには、言った方がいいよ」
「…なんで?」
「アリおばの為に身体張ってくれたんだから」
「?」
「じゃ、おやすみ」
大吾はコーヒーの残っているカップを持って自分の部屋に入って行った。
「おやすみ…」
…川合か。あの時久しぶりに会った時には、まさか、ここに泊める事になるとは思いもしなかったけど、悪い気はしなかったな。
「…風呂入ろっと」