【完】キミと生きた証
プリントの右上に名前を書いた。
”霧沢ちとせ”
千歳をひらがなにしてちとせ。
「長い年月を生きていく」
そういう意味でつけたんだって。
あたしは生まれつき心臓の病を持ってて、移植だとか有効な手術だとかが受けられなかったら、あたしの命はもって20歳だって聞いた。
聞いた・・・っていうか盗み聞きしちゃった。
死ぬっていうのが怖くて嫌で苦しくて、苦しすぎて死にたいって思って矛盾に気づいて、また泣いて。
あたしは中学の頃の入院中に、その「宣告」を盗み聞きしたとき一回死んだ。
心が死んだの。
けど生き返った、っていうより、ぎりぎりの精神を引きずって生きてる。
心が死なない方法、あたしにとってただ一つの方法は、「とにかく頑張る」ってことだった。
治療も、検査も、日常生活も、勉強もとにかく頑張るの。
頑張るのを止めた瞬間、きっと心が死んじゃう。
頑張るのを止めることは、あたしにとって諦めと絶望だから。
”生きるため”に、できることは何でもがむしゃらに頑張る。
そう思ったから、入院生活もルールをしっかり守ったし、してはいけないことなんて中学のころから一回もしてない。