【完】キミと生きた証
ご飯を食べてから、リビングの隣にあるあたしの部屋で、お茶を飲んでた。



「うまかった・・。」


「本当?嬉しい。」


もともと栄養士だったお母さんの手料理は塩分・栄養ともに完璧。


あたしのせいで今はパートでしか働いてないけど・・。



「お母さんね、お父さんのために栄養士になったんだよ。」


「え?まじで?」


「うん。お父さんとお母さんって中学からの付き合いだったみたいなんだけど。お父さんって生まれつき心臓悪くてね。もう死んじゃったけど。」


「そうか・・。」



瞬は思いついたようにあたしの机の上にある単語帳をぱらぱらとめくった。


「カラフルだな・・。」


「それね、色で覚えるんだよ。あと、絵も。文字だけで覚えるより、脳みその要領ふんだんにつかえるでしょ?」


「なるほどなぁー・・・。」



色を楽しむように単語帳をぱらぱらとめくってる瞬が、まさか勉強してるなんて思わなかった。



「よし。問題だせ。」


瞬はテーブルの上に単語帳を置いた。



「え?」


「範囲はその単語帳。」


単語帳の真ん中あたりをひらいて、適当に問題を出した。



「えっとじゃあ・・read between the linesは?」


「行間を読む。」


「すご、正解。occur toは?」


「心に浮かぶ」


「すごい!!え、なんで?知ってたんだよね?」


「今知った。」




・・・天才を見つけたかもしれない・・・・!!



結局最後まで一問も間違わなかった。


瞬は単語帳を5分くらいで暗記しちゃった。



「すげえな、その単語帳。色と絵がキいてる。」


「いや、多分・・瞬の頭がいいんだと思う・・・。」


「頭はわりぃよ。」


「ちゃんと勉強したことある?」


「いや。」


「勿体ない・・・。」




< 120 / 478 >

この作品をシェア

pagetop