【完】キミと生きた証
「なぁ、真由センセー。」


「なに?」


「工業高校から大学行ったやつって知ってるか?」


「大学?工学部とか行った子いるんじゃない?北工業の、ほら、なんていったっけ。天音くんだっけ?ローカル新聞に載ってたじゃない。」


「だよな・・・。」


俺の学校から大学に進学なんてことになったら、珍しすぎて新聞にまで載るレベルなんだよ。


知ってた。



「俺さ・・・医学部行きてぇって・・・言ったら、人生舐めすぎ?」


「医学部?!」



わかりやすいくらい目をぱちぱちさせてる。




「わかってるよ。足りねえんだろ。単位とか・・・たぶん。」



「いや・・単位はほら、2年生から特進科にいけばたしか大学進学めざせるはずだけど・・・。」


「まじで?」


「でも特進科だってそう簡単に進級できないよ。あなた勉強してないでしょ?」


「してねえ。」


高校に入って・・つうか中学のときからほとんどテスト勉強なんかしてない。



「もう・・それじゃ無理でしょ。諦めるか、留年ね。」


「んな時間ねえよ。」




俺がもしもストレートで医学部卒業できたとしたって、その頃には24歳。研修医は2年らしいから26でやっと医者。


この時点で、20歳っていうリミットは越えてる。


けど・・・きっと。


いや絶対。


ちぃは生きるから。



「瞬君の成績はどんなもんなの?」


「いい方だと思う。1,2学期は筆記と実技1位だった。」


「・・・あんた能ある鷹ね。」


「は?」


「特進科にいきなさい。・・・ちーちゃんの為に医学部に行きたいの?」



「・・・まぁ。」


保健医は呆れたようにほほ笑んだ。



「本気なの・・・?」



いつの間にか保健室の入口にちぃが立ってた。






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