【完】キミと生きた証
仁奈ちゃんとわかれて、今日は駅に向かう。


あたしがお願いしたんだ。


また「待ち合わせ」しようって。



待合室のガラス扉はもう曇ってなくて。

待合室に入ると、ストーブが焚かれてるだけで、ヤカンもお鍋もなかった。


「おう、ちとせちゃん」



駅員さんが待合室の扉から顔をだした。



「駅員さん。こんにちは。もうお鍋やめたんですか?」


「もういいかなーと思って。風邪ラッシュも終わったしさ。」


「そうなんですね。もうすぐ春ですもんね。」


「全国的にはもう春だもんな。桜は・・まだまだか。」



駅員さんは箒を持つ手を止めて、駅前の桜の木を見つめた。




「ちとせちゃん、金髪くんとうまくいってるの?」


「はい。あ、でも、もう金髪じゃないんです。」


「そうなの?まさか赤とか?」


「あはっ違いますよ。」



噂をすれば影っていうやつかな。


曇ってないガラスの窓から、瞬が見えた。






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