【完】キミと生きた証
「・・・待合室の扉あけるとき」
瞬がどこでもないところを見つめながら口を開いた。
「うん?」
「・・・待合に入る前。左の端っこに・・・ちとせがいると。」
「うん。」
「・・・うん。」
言葉、やめちゃった。
あたしの気持ちをそこに付け足していいかな・・・?
「待合室に入る前に、左の端っこに瞬がいるとね・・・途端にどきどきして、幸せになる。」
「・・・うん。そう言いたかった。」
瞬の指はあたしの指と絡まって、いつのまにか恋人つなぎ。
「春が来てほしい。けど・・・時間、止まらないかなぁ・・。」
瞬の肩に寄り添った。
そうすると瞬もあたしの方に頭をかたむける。
『―――まもなく0番線に電車がまいります。』
「・・ちとせ。電車、一本見送ろうか。」
「そうしたいって思ってた。」
目を合わせて笑った。
指と指は離れない。