【完】キミと生きた証
「おじゃまします。」
「こっち。」
やばい・・・緊張してきた。
かちかちになって廊下を歩いてると、誰かがちらっと部屋から顔を出した。
わぁ。綺麗な人ー・・・。
・・・じゃない!
「あっ!おじゃまします!」
きっと瞬のお母さんだ!!
ぺこりとお辞儀すると、「いらっしゃい」って優しい声がした。
「瞬!スリッパくらい出しなさい!」
「あぁ?いるか?」
「ううん!大丈夫!」
「もう!ホントごめんね?ちとせちゃんだよね。これどうぞ。」
「ありがとうございます。」
高そうなスリッパ・・・。
・・・うちではこんなお洒落なものでてこないよ。
手土産を渡して、すこし話してから一階の一番奥の部屋に行った。
「ここ、瞬の部屋?」
「違うよ。けど別にいいだろ?」
「うん!なんかおしゃれだね。」
このソファなんか、ふかふかすぎる。
テレビもおっきい・・・。
「俺の部屋の方がたぶん落ち着くと思うんだけど、3階なんだよ。わりぃ。」
「なんで瞬が謝るの。ふふっ。優しいなぁ・・・。」
あたしが階段登るのキツイから、ここにしてくれたんだ。
そんなこと伝えたことあったっけ・・・?
きっと、勉強してくれたんだ。
やっぱり瞬は底抜けに優しい。
「でも行きたかったらおぶってくよ。」
「あははっ。筋トレじゃないんだから。」
「ちとせ小さいから筋トレにもなんねえよ。上がってもたいしたもんねえけどな。」