【完】キミと生きた証
まわりを歩く人が途切れたから。


俺はそのままぎゅっとちとせを抱きしめた。



あったかくて小さな体。


いい匂いがする・・って。ちげーか。


「ひ、人が来るよ!」


「いいよ。・・・つか、来ねぇし。」


「えぇ・・・//」


体を硬くしてたちとせが力を抜いて、俺に体を預けてきた。



「瞬、水芭蕉の花言葉ってね・・・」


「ん?」


ちとせの声が俺の体に響いてくる。



「花言葉は、”美しい思い出”なんだって。」



「へぇ。」



・・・で、なんなんだ、花言葉って?



「・・・ふふっ、嬉しい。」


嬉しそうだから、もう少しだけ強く、ぎゅっと抱きしめた。



「・・・苦しいよ。あはっ。」



「あ、わりぃ。」


< 194 / 478 >

この作品をシェア

pagetop