【完】キミと生きた証
「・・ちとせ?」


「あ・・。ふぇ・・・っ。瞬・・・っ。」




両目を拭っても拭っても涙が出てくる。


瞬は花束をばさりと棚に置いて、あたしのところに駆け寄った。



「どうした?」


「・・・うぅ・・っ。・・・っく。」



しゃくりあげて泣くあたしを瞬がぎゅっと抱きしめた。



「大丈夫。・・・どうした。」


「…っ、心臓、止まったって…。もう…っ弱・・く」


「うん。」


「初めて…っ止まった…。こんなふ、に…死んじゃったら…っ」


「大丈夫だ。今動いてるのは・・・ちとせの心臓だ。大丈夫だから・・・。お前の心臓そんなに弱くねえよ。」



あたしの震える手を握って、背中を何度も何度もさすってる。



「心臓…頑張れ。ちとせのこと…泣かせんな。」




小さな声。冷たい手のひら。


怖がらせて、ごめん。


怖がって、ごめんね。



瞬から離れたくなくて。



ずっとこうしていたくて・・・。



奥歯かみしめて、涙をこらえさせて、ごめん・・・。



瞬・・・怖いよ。


あんなふうに簡単に死んじゃったら



もう瞬に抱きしめてもらえない・・・。


大好きって言えない。




・・・怖くてたまらないの。






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