【完】キミと生きた証


***



「そっか。瞬はずっといてくれたんだね。ありがとう。」



ちとせは今俺の目の前にいる。



・・・生きてるって


そんな当たり前のことが


これほど幸せなことだなんて。



俺はずっと


16年も生きてきて気づかなかった。



「今日は調子よさそうだな。」


「うん。いつもより・・・楽。」



ちとせは肉体的にも精神的にも落ち着いてきて、普通の病室に移った。



・・・このまま、すぐ退院できるといいけど。




「10月なったら・・・もうすぐ、模試があるね。」


「模試?」


「特進科・・でも、あるんじゃないの?」


「ねぇな。」


「・・・あたし受けに行けないから、模試もらったら、瞬がやっていいよ。」


「お前はやんねえの?」


「うん。あたしは・・・いい。」


「・・・そ。」



入院して以来、話す言葉が途切れ途切れになった。


きっと息が続かないんだと思う。



体だって疲れやすい。


だからこんな風にすぐ眠る。




長ぇまつげ・・・。



さらさらの髪を撫でて、頬をつついた。



白い肌を撫でても、真っ赤になってはにかむこともない。



・・・眠り姫。


めちゃくちゃ綺麗だ。



でも・・・。


早く・・・元気んなって。





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