【完】キミと生きた証
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「そっか。瞬はずっといてくれたんだね。ありがとう。」
ちとせは今俺の目の前にいる。
・・・生きてるって
そんな当たり前のことが
これほど幸せなことだなんて。
俺はずっと
16年も生きてきて気づかなかった。
「今日は調子よさそうだな。」
「うん。いつもより・・・楽。」
ちとせは肉体的にも精神的にも落ち着いてきて、普通の病室に移った。
・・・このまま、すぐ退院できるといいけど。
「10月なったら・・・もうすぐ、模試があるね。」
「模試?」
「特進科・・でも、あるんじゃないの?」
「ねぇな。」
「・・・あたし受けに行けないから、模試もらったら、瞬がやっていいよ。」
「お前はやんねえの?」
「うん。あたしは・・・いい。」
「・・・そ。」
入院して以来、話す言葉が途切れ途切れになった。
きっと息が続かないんだと思う。
体だって疲れやすい。
だからこんな風にすぐ眠る。
長ぇまつげ・・・。
さらさらの髪を撫でて、頬をつついた。
白い肌を撫でても、真っ赤になってはにかむこともない。
・・・眠り姫。
めちゃくちゃ綺麗だ。
でも・・・。
早く・・・元気んなって。