【完】キミと生きた証
甘い味
Side 霧沢ちとせ
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もう10月になった。
窓をあけると冷たい風が入ってきて、秋の気配。
「ちーちゃん、これ。持ってきたよ!」
今日は仁奈ちゃんが来てくれた。
遠いのに電車とバスとタクシー使って・・・。
手渡されたのはこの前の「模試」の一式。
「ありがと・・仁奈ちゃん!」
「へへー!あと、これも!」
「なにそれ?」
「新色のリップだよ。仁奈とおそろい!」
「わぁー・・嬉しい・・!いいの?」
「つけてみてー!」
仁奈ちゃんがくれた淡いピンクのリップ。
いい匂いがする・・。
「どうかなぁ?」
「めっちゃ可愛い!さすが仁奈、センスあるわー!」
鏡で見てみたら、一気に血色がよくみえる。
思わず口角があがった。
「嬉しい・・仁奈ちゃん、ありがとう」
本当は抱きつきたいくらい嬉しいんだけど、
最近長く喋るのでさえしんどいんだ。
「これで瞬くんもめろめろだねー♡」
「あはっ。だといいなぁ」