【完】キミと生きた証
あたし、”最期にできること”に
向き合わなきゃならないと思う。
ぼうっとする頭で点滴の雫を眺めて、日中ずっと考えてた。
・・・そうだ。
11月になったら、瞬の誕生日。
なにかあげたい。
でも買うだけじゃ、物足りないかな。
寒くなるから、マフラーとか・・・・。
あたしに作れるかなぁ。
チャコールグレーの毛糸と、黒の毛糸を買ってきてもらった。
手袋と同じ色にしたら、つけてくれるかな。
本を見て、自分でやるの。
バレンタインのチョコみたいに、今度はお母さんに作るの手伝ってもらわないよ。
2本の編み棒を構えて、ひとつひとつ、編み始めた。
・・・コンコン。
軽く扉を叩く音。
きっと瞬だ。
あたしは急いで毛糸と編み棒を袋に戻した。