【完】キミと生きた証
俺はほとんど毎日ちとせに会いに通った。


バイクのエンジンをふかして、ぶっ飛ばせば40分かからねえ・・かかるか。


俺は学校があるから夕方しか来れないけど、ちとせは夕方ほど体調がすぐれないようだ。


だから寝てることが多いけど、


その寝顔みれるだけでも来た意味がある。


面会終了時刻まであと10分。


必ず、会いに来たって印は残す。



===

今日は雪だから
マフラーと手袋
大活躍

===


病室を出る前に、小さな額にキスをおとす。



「じゃ、また明日。」



ちとせが日に日に弱っていくのがわかる。



俺はバイクで風を切りながら、


歪み始めた景色を目に焼き付けた。




次第に速度はおちて、


路肩に止めた。



・・・見上げる夜空は深い黒。


雪が冷たい。





ちとせ・・・。




俺は出そうになった涙を腕で拭って、


もう一度バイクを走らせた。



・・・なんでちとせなんだよ。


あいつなんにも悪いことしてねえじゃん・・。


世の中にはもっと悪い奴だって、どうしようもねえやつだって。



他にもたくさん・・・人はいるのに。



なんでちとせなんだよ・・・。



あいつが何したっていうんだよ。






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