【完】キミと生きた証
12月24日。
薄暗くなりつつある夕方、外は雪がちらついている。
ちとせは真っ赤なマフラーを巻いて、にこにこしながら車いすに乗せられた。
俺とふたりきりで道を歩く。
嬉々とするちとせ。
車いすを押す俺を何度も振り返るから、「前見ろこけんぞ」って言ったら「どうやって?」って・・・確かに。
「あはっ。瞬・・おかしい・・。」
ちっせえ肩を震わせて笑ってやがる。
「うっせぇ。」
ちとせは身を捻って、小さな手をこっちに伸ばした。
俺の手にそれが乗っかると、ぽつりと呟く。
「車いすだと、手つなぐの・・大変だね。」
「つないでんのか?これ。」
「繋いでるもん・・へへ。」
前より声は小さくなったけど、明るい声が戻ってきた。