【完】キミと生きた証
ツリーの下で
Side 霧沢ちとせ
***
今年も瞬とツリーに来れた。
見える世界も、聞こえる声も、去年とちょっと違くかんじる。
「ちとせ、みえるか?」
瞬が車いすに座るあたしの目線まで屈んで、大きなクリスマスツリーを見上げた。
去年と同じ、カラフルな電飾。
てっぺんにはきらきらのクリスタルの星。
「綺麗だね・・・。」
「今年もちとせの単語帳まみれだ。」
隣にしゃがんだ瞬に片手を伸ばして、手を繋いだ。
手袋と手袋が結ばれて、なんだかちょっと物足りない。
そう思ってあたしが手袋を外すと、瞬も真似して手袋を外した。
そしたら暖かい手があたしの手を包んで、握り返すと瞬は笑ってくれた。