【完】キミと生きた証
あたしは思わずにじんだ涙をこぼさないように上を見上げた。


でもそれは逆効果だった。





「・・・っふぇ・・・っ。あり・・がとう・・。」




きらきら輝く指輪をはめた右手と、左手で顔を覆って、肩を震わせて泣いちゃった。



「・・・泣き虫。なんで泣くんだよ?」


「・・・うれし、い・・から。」


「嬉しい時は笑え。」



大好きな瞬がそういうから。



あたしは息を整えて、涙でぬれた顔のまんま、にーって笑ったの。




そしたら今度は瞬が、泣きそうな顔で笑うから



あたしも「なんで泣くの?」って聞いた。




「泣いてねえよ。」



瞬はぶっきらぼうにそう言い放って、あたしの頭をがしゃがしゃと撫でる。



「・・・あはっ。髪、ぐちゃぐちゃだよ・・。」



瞬がふっと笑う。




今度はいつもみたいに、



あたしのこと好きでいてくれてるんだなって、思っちゃうような



優しい笑顔。




・・・瞬。


ずっといたいよ。


生きてたいよ。


このままいつまでも、ずぅっと先の未来を



瞬と一緒にいれるなら



なんにも、なんにも・・・いらないのに。





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