【完】キミと生きた証
あたしが瞬から体を離すと、瞬は「もういいのか?」ってなんでもないように言うんだけど。


相変わらず真っ赤なほっぺ。


好きでいてくれるんだなって、胸があつくなる。



「こうやって・・・瞬に近づくと、どきどきしてね。ちゃんと心臓・・動いてるんだなぁって思うんだ。」


「ばーか。お前の心臓はお前が思ってるほどヤワじゃねえよ。」


「へへ。そうかな。」


「そう。」


「瞬は・・どきどきする?」


「・・・はぁー?」



瞬は後ろ頭を掻きながら、あたしを見ないではぐらかす。


・・・・てれやさん。


「・・・ふふっ。」


あたしが笑うと、瞬はあたしの手を思いっきり引いた。



瞬の硬い胸に、ぴたりとくっつくあたしの手。



手に伝わってくる鼓動は、力強くて



「・・・速い。」



瞬の身体に触れたのが途端に恥ずかしくなって、手を引っ込めたのに、瞬はそのままあたしの手を掴んでしまう。



あたしたちの間にはあったかい沈黙。


でも出逢った日みたいにどきどきしてる。



< 293 / 478 >

この作品をシェア

pagetop