【完】キミと生きた証
結局あの日はお母さんに迎えに来てもらって、武石君に見送られて家に帰った。
そのまま1週間くらい学校を休んでる。
「はやく武石君と駅員さんにお礼言わなきゃ。」
「お母さんがちゃんとお礼しといたから。体調良くなったらで大丈夫よ。」
「・・・ってまさかあの時、武石君にまでみかんあげたの?」
「うん。」
「ばかぁ・・。」
学校行く前の人にみかん一袋あげるなんて迷惑に決まってる…!
それもあの武石君。
金髪で絶対やんちゃな子なのに、みかん一袋・・・そんな地味なの貰っても困るでしょ。
お母さんのマイペースさに、溜息ひとつ・・・。
そんな時でも何度も思い出す。
あんなに寒いのに学ランを脱いで、そっとかけてくれた優しい手。
大丈夫か?って心配そうな低い声。