【完】キミと生きた証

掴めない

下を見れば、瞬たちの作っていた輪が乱れた。


もう・・・話合い、おわったのかな?



瞬がギャラリーへの階段の下まで歩いてきた。



その瞬に駆け寄る、長い髪の子。


・・・イズミちゃんだ。



あたしは立ち上がって、柵を両手でつかんでみつめた。




瞬は他の子みたいに無視するでもなく、立ち止まって話してる。



イズミちゃんから顔をそむけて、たまに頷いて、何か話してる。



その横顔が赤く見えて、


あたしがいつも見てる瞬の顔に見えるのは、気のせい・・・じゃない。



「どうしたの?ちーちゃん?」



「あ・・・ううん、なんでもない!」



あたしはそれ以上見たくなくて、仁奈ちゃんの隣に座った。



結局こっちに戻ってくるより早く、瞬のチームの二試合目が始まった。




こんなにもやもやする気持ちは、付き合ってから、初めてかもしれない。





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