【完】キミと生きた証
はがゆい(Side瞬)
Side 瞬
***
・・・この前の捻挫がまだきいてる。
地味に足が痛え・・。
でもひきずってでも、はってでも行く。
もう放課後だ。
ちとせは早退してないらしいから、ちとせの迎えが来るまで保健室で会うつもりだ。
南高に向かう途中、駅を過ぎたあたりで、自転車にまたがる仁奈子に道をふさがれた。
「邪魔だ・・・。」
「ちょっと、ツラかせ!」
って、仁奈子が中指立ててる。
「お前・・なんのマネだよ?」
「北工生のマネ。ってそんなのいいから。ちーちゃんまだ学校で残りの課題やってたしまだ帰らないよ。ちょっとくらい付き合ってよ。」
スカートの下にジャージを履いて、相変わらずだせぇな。
仁奈子にひきずられるように駅の待合室に入った。
寒さにジンジンしてた右足が暖かい待合で紛らわされていく。
椅子に座ったらポケットから携帯が落ちた。
手を伸ばしても届かない。
つい右足を伸ばしたら、激痛がはしった。
「いって・・」
椅子と椅子の隙間に落ち込んだ携帯を、仁奈子がさっと拾い上げた。
「…あとちょっとなのに、届かないって、はがゆいよね。」
そう言って、俺の手に携帯を押し付けた。