【完】キミと生きた証
俺にでもわかる。
仁奈子は不機嫌だ。
「なんだよ?」
お前に睨まれるようなことした覚えはねえよ。
「球技大会の日に、仁奈ずっとふたりのこと見てたよ。怪我した瞬君に、ちーちゃんが肩貸そうとしてたじゃん。どうして断るの?」
「当たり前だろ。んなことしたらあいつの体に負荷がかかるだろ。」
「テーピングくらい自分ですればいいのに。」
「しようとしたけど、イズミが勝手に・・」
「その”イズミ”の肩は借りてたの、ちーちゃんも見てたと思うよ。」
「んな細けえこと気にしねえだろ。」
「全っ然・・わかってない。」
仁奈子は俺の顔を見つめて、溜息をついた。
「あの日の帰り道で、ちーちゃん・・”何もできなかった”って泣きそうな顔で笑ってたよ」
「どういう・・意味だよ?」
何もできないって、なんのことだ。
「ちーちゃんは確かに、体のこともあるから、いろいろできないことだってあるよ。
でもあの日あんなに頑張って、瞬くんのところまで追いかけてたじゃん。
肩貸すよって言って。でも断られて。
したいと思ってできなかったこと、目の前でほかのひとが全部やってくれるんだよ?
ちーちゃんの気持ちわかる?」
ちとせの・・気持ち。
よかれと思ってしたことは、ちとせにとって最善だと思ってた。
「・・・あぁ。そっか。」
きっと、ちとせの気持ちは・・
その時の気持ちは「惨め」だ。
そのちとせが、俺にいった。
大人なコト、したいか?って。
・・・そんなちとせに何て言った、俺。
仁奈子は不機嫌だ。
「なんだよ?」
お前に睨まれるようなことした覚えはねえよ。
「球技大会の日に、仁奈ずっとふたりのこと見てたよ。怪我した瞬君に、ちーちゃんが肩貸そうとしてたじゃん。どうして断るの?」
「当たり前だろ。んなことしたらあいつの体に負荷がかかるだろ。」
「テーピングくらい自分ですればいいのに。」
「しようとしたけど、イズミが勝手に・・」
「その”イズミ”の肩は借りてたの、ちーちゃんも見てたと思うよ。」
「んな細けえこと気にしねえだろ。」
「全っ然・・わかってない。」
仁奈子は俺の顔を見つめて、溜息をついた。
「あの日の帰り道で、ちーちゃん・・”何もできなかった”って泣きそうな顔で笑ってたよ」
「どういう・・意味だよ?」
何もできないって、なんのことだ。
「ちーちゃんは確かに、体のこともあるから、いろいろできないことだってあるよ。
でもあの日あんなに頑張って、瞬くんのところまで追いかけてたじゃん。
肩貸すよって言って。でも断られて。
したいと思ってできなかったこと、目の前でほかのひとが全部やってくれるんだよ?
ちーちゃんの気持ちわかる?」
ちとせの・・気持ち。
よかれと思ってしたことは、ちとせにとって最善だと思ってた。
「・・・あぁ。そっか。」
きっと、ちとせの気持ちは・・
その時の気持ちは「惨め」だ。
そのちとせが、俺にいった。
大人なコト、したいか?って。
・・・そんなちとせに何て言った、俺。