【完】キミと生きた証
「我慢なんか・・」


ちとせはきょろきょろと周りを確認。


俺に近づいて耳元に手を添えて、小さな声が聞こえてきた。



「ちょっと・・・よくばりになってただけ。」



ちとせは照れて笑う。



「隣でいるだけで・・・満足できなくなっちゃった。好きだから・・・求めてほしく、なっちゃった。」



な、なんっていう、可愛いことを言うんだ、こいつは。



「あと・・・ちょっとイズミちゃんにやきもち焼いた。」



「テーピングな、ちゃんと断ればよかった。」



「ううん、それじゃなくて。瞬がイズミちゃんと話してるの上から見てたんだ。なんか、瞬の顔赤くなってたようにみえて・・それで。」



「話・・・?あぁ、わかった。あれは・・ちげえよ。」



ちとせが首をかしげる。



「別になんでもねぇよ。」っていつもの俺なら言ってただろうけど。



「ちとせの話してた。あんな感じの子がタイプなのかって聞かれて、そうだって答えて・・・。どこがスキなの?とか言ってずっとひっついて聞いてくるから・・全部だって答えた、だけ。」



あー、顔熱い・・。



ちとせを見ると、口をきゅっと結んで、目をきらきらさせて、笑みをこらえるような・・・たまんなく可愛い表情してる。




「・・・なんだよ?」


「きゅんとした・・。」


「・・・そーかよ。」




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