【完】キミと生きた証
「けほっ・・けほっ・・」
「どうしたん?」
「うーん、なんかひっかかるんだよね。風邪ひいたのかも。」
「大丈夫かよ?熱は?」
「ないない!あ、でももし風邪なら移らないかな?」
あたしが口元を手でおさえたのに、瞬はすぐにあたしの手をひっぺがした。
「俺はそんなヤワじゃねえ。」
瞬は、にっと笑ってあたしに近づく。
「・・・なんならキスしたいくらいだけど。」
って至近距離・・。
あたしは思わず息をのんで、その大きくてきれいな瞳を見上げた。
「え・・っと・・・。移っちゃうと、悪いよ。」
真っ赤な顔して、あたしがゆっくり目線を横にずらしたら、瞬はくすりと笑った。
「・・はっ。カワイ。」
耳元で聞こえた声にあたしは俯いた。
「ちとせー?」
瞬はあたしの名前を呼んでるけど、あたしは目線を合わせない。
だって、瞬に余裕があるんだもん。
あたしばっかりどきどきしてて・・恥ずかしいよ!
そしたらふわっと、整髪料かな・・いい匂いがして。
触れるような暖かいキスの感覚が、ほっぺに残った。
どきどきして、大好きすぎて、おかしくなりそう・・。
ぎゅっと目を閉じたら、瞬の笑う声がした。
「お前・・・めっちゃくちゃ、可愛いんだけど。」