【完】キミと生きた証
「お、カレシの登場だ。」
「よし、全員そろったね!ちーちゃん、目閉じて!」
仁奈ちゃんに言われた通り、目をぎゅっとつむった。
がさごそと音がする。
「はい、目あけて?」
パッと目をあけると、ベッドの上のテーブルに、ピンク色の大きなくまのぬいぐるみが座ってた。
そこには、ここに来てるみんなや、来てない子たちからのメッセージがいっぱい書かれてた。
あ・・・真由ちゃん先生まで。書いてくれてる。
「わぁ・・・ありがとう・・・っ」
文字をひとつひとつ目で追っていく。
最後のメッセージまで読んだあと、そのおおきなぬいぐるみをぎゅっと抱きしめた。
「・・・嬉しい。」
思わず涙腺がゆるんじゃう。
そしたら、仁奈ちゃんが「ほら、カレシの出番だよ!」って瞬の背中を押した。
「いってぇなー。」
「ほーらー!ちーちゃん泣きそうじゃん!」
にやにやとみんなが瞬を見つめる。
瞬は「お前ら後でみてろよ」ってぽつりとつぶやくけど、みんななんでか、瞬のこと怖がってない。
「ちとせ。・・・嬉しい時は?」
「えと・・笑う。」
にーっと笑ったら、右目から涙がこぼれた。
瞬の指がそれを拭うと、「ひゅー!」って歓声が上がる。
「くっそうぜえ!南高生まじでうぜえ。」
部屋に溢れる笑い声。
瞬がパッとあたしから離れた。