【完】キミと生きた証
それから数日後のこと。


あたしはベッドに寄りかかって、瞬が借りてきてくれたDVDを見てた。


コンコンって、ドアが叩かれて、返事をすると、ドアが開く。



「・・・あ・・え?」



「お、座ってるじゃん。調子よさそうだな。」



なんて、いつも通りな瞬だけど・・。



「か。髪、染めたの・・?」



目の前に居る瞬は、出逢った時と同じ、きらきらの金髪。



「砂時計の夢見たって言うし。・・金髪の方が、好きなんかと思って。」


「あはっ・・・懐かしい。かっこいい。」



「お、今日はもう笑った。」



「へ・・?」



嬉しそうな瞬の笑顔。


あたし・・・笑ってなかったのかな。



泣いてばっかりだもんなぁ。



「…出逢った・・・時、みたい。」



初雪の降ったあの日、雪のかかった金色の髪。


鋭い目つきに、不機嫌な顔。


初めて喋った日には、睨まれてるって思ったっけ。



話しかけてくれるわりには、会話は全然続かなくって。


いっつも、目が合わなくて。



クリスマスツリーを観に行った日、赤いマフラーで火照る顔を隠しながら。


お互い真っ赤になって、この手を繋いだ・・・。



ゆっくり手を伸ばして、瞬に触れた。


今はもう、当たり前みたいに、触れられる。



・・・でも、いつまで。



いつまでこの手を握ることができるんだろう。



言えなくなるのがいつかわからないから、あたしは今日も、想いを伝える。




「好きだよ…瞬。」



溢れる想いを受け取って。


あたしが生きている間、全部、全部、伝えるから。





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