【完】キミと生きた証
先生たちは大急ぎで資料を部屋に運んできた。



先生の説明は、あたしの目の前で淡々と進んだ。


あたしの心臓は、正直1年もつかわからないんだって。


そんな簡単に言うなんて。


ショックをうける暇もなく、あれよあれよという間に書類が机に広がっていく。



項目がたくさんあるの。



うつろな瞳でそれを眺めた。


手術しても、体と合わなくて拒否反応がでるかもしれないけど、いいですか。


手術後、蘇生に失敗するかもしれないけど、いいですか。


蘇生しても、感染症になって死ぬかもしれないけど、いいですか。



頭の中で難しい文章を簡単に変換していくと、恐ろしくて涙がでた。



あたしは、胸に手を当てた。


この脆い心臓は、まだ動いてる。


あと1年の・・・命だとして。


もし新しい心臓がはいったとしたら…本当に生きれるの?




「先生…前、言ったじゃないですか。あたしには…体力?免疫?そういうの…ないって。」



心臓移植に耐えられないかもしれないって。


中学生のあたしに本当のこと教えてくれたの、覚えてる。




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