【完】キミと生きた証
「正直…リスクはかなり高い。」



先生はいつもしっかり、本当のことを教えてくれる。



聞けば聞くほど、大きすぎる最後の壁を感じた。



涙で資料がみえなくなるから、何度も目をこすって、先生の話を聞いた。



「…でも、他に…方法がないって…ことですよね…?」



死ぬか、生きるか・・・最後の賭けってことなんだ。




でも、もし…失敗したら。



「先生…。誰の…心臓なんですか。」



何でも教えてくれる先生も、これだけは教えてくれなかった。



誰かの中で、まだ動いてる心臓。


あたしと同じ血液型で、同じ体の大きさの、だれかの大切な心臓。



それを奪ってまで…



この命に賭ける意味が、どれだけあるんだろう。








明日、移植の流れを手伝ってくれる、コーディネーターの人が来るんだと思う。



・・・もっとちゃんとした、詳しい説明があるみたい。



承諾書にサインなんか、明日すぐになんて、できないよ。



心の整理なんか・・・つかない。





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