【完】キミと生きた証
「まさかとは思うけど・・・瞬、まだちぃちゃんのこと引きずってんのか?」
「・・・いや。」
「諦めわりぃなー。女なんて、ごまんといるって。」
「だから・・・別に引きずってねえよ。」
そういう俺をちらりと見て、一馬は俺の学ランのポケットからひょいっと紙を抜き取った。
「・・・ちょ。おい!返せよ!」
「やっぱまだ持ってる。引きずりすぎ・・・にしてもちぃちゃんも仁奈子ちゃんも可愛いなー。女々しくこんなん持ってるから忘れらんねえんだよ。」
一馬の手から奪い返した、去年の今頃、ちとせと仁奈子が文化祭で取った写真。
写真の中のちとせは、元気で。
大好きな仁奈子と楽しそうに笑ってる。
「そんなん見てねえで、さっさと忘れろよ。瞬も男だったら、いろんな女見といたほうがいいぜ。何事もケーケン。」
一馬は両手を空にあげて、伸びをした。
「…お前は、本気で人を好きになったことねえのか?」
「あー?別に、いつも本気だけど?」
「・・・へぇ。」