【完】キミと生きた証
だったら、一馬にはわかんねえ。


仁奈子にだって、わかんなかったように。



胸が張り裂けそうなこの気持ちを、どこにぶつければいいのかわかんねえ。



「・・・っ。」



屋上の扉が真横にあった。



俺は、左手を握りしめて、何度もそれを殴った。




「おい・・・瞬?やめろって!」



「…どうすりゃ、いいんだよ。」





ちとせが生きてるって・・・確信が欲しい。




割れたガラス。


左手から血がしたたり落ちた。




”この優しい手で、誰かを・・助けてあげて。”





・・・何を・・やってるんだ、俺は。




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