【完】キミと生きた証
俺が袋の中身をのぞいて固まっていると、イズミは振り返って俺に叫んだ。



「南高に通ってる弟からパクってコピったやつだから!それやったら絶対受かるよ!」



そう言って、門を出た矢先のこと。




「ねえちゃん!!俺の問題集全ページ切っただろ!?なにしてんだよ!これ提出すんだぞ!」


「なんであんたココにいんの?」


「ねえちゃんがこういうことすっからだろうが!」



そう叫ぶのは・・・まぎれもなく・・・。


・・・ちとせが天使くんと名付けたあいつだ。




「うわ・・。」


向こうも俺に気づくと、眉をしかめた。



俺は存在無視に徹した。


でもあいつは追いかけてくる。



「なぁ、ちとせはどこに転校したんだ?!」



「・・・あ?」



俺が睨むと、イズミが焦ってチビな弟の口をふさいだ。
もがく弟が口を開く。



「ぷはっ!もしかして・・・別れたのか?!」




俺はイズミの弟の目の前で寸止めするように、勢いよく紙袋を突き付けた。




「・・・二度と俺の前にでてくんな。」




咄嗟に両手で紙袋を握ったイズミの弟。



・・・こいつの言動は、いちいちムカつく。



俺は正門を出て、駅まで歩いた。



けやきの駅は使わねえ。


20分に一本くらいは電車がくる駅を目指して。





「ちょっと!この問題集は瞬が使ってよ!・・・もー、あんたのせいで苦労がパーじゃない!バカ!チビ!」



「ねえちゃんが俺の問題集切るから悪いんだろ!?ありえねえ!」



薄く積もった雪を踏みしめるにつれて、校庭に響き渡る姉弟喧嘩の声が小さくなっていく。







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