【完】キミと生きた証
先の見えない一歩
―――3月。
私立の受験日にも、公立の受験日にも、ちとせからの連絡なんかこなかった。
ちとせならくれるんじゃねえかと、心の片隅で思ってたんだけど。
「はじめ!」
ばかみたいに広い大学の校舎で、模試でもなんでもない、本番のまっさらな用紙に答えを書き込んでいく。
今日は公立の受験日だ。
そこらじゅうでカリカリと鉛筆のこすれる音が響いてる。
ページをめくる音にもせかされやしない。
・・・全部解けるに決まってる。
保健室でちとせに教えてもらった勉強も、カラフルな単語帳も、問題集も、全部味方だ。
二日目も順調だった。
最後の問いを終えて、見直してたらチャイムが鳴った。
・・・・人より長かった受験生生活が今、終わった。
俺は天井を見上げて伸びをした。
・・・ちとせ。
受験、終わったよ。
すげぇ長かった・・。
お前は何してる?