【完】キミと生きた証
ここは、ちとせが腎臓の治療をうけるために転院した病院だ。



東京のはずれにある、真新しい大きな病院だった。




「でも・・どうしてここに・・・?」


「・・・そんな話は全部後だ。」






俺はちとせに向かい合って、潤んだ瞳を見つめた。



俺を見上げる大きな瞳は、7年以上たっても変わってない。



頬を赤らめて、何か言いたげに俺を見つめる。



見るだけで伝わってくる。



・・・きっと、俺のことを好きなままだ。



「約束守って、医者になったよ。けど・・守れなかったこともある。」


「・・・うん?」





お前にあれだけ、”前に進め”と言われた俺だけど。




「・・・お前のこと、諦められなかった。」





これだけ長い年月の中で、


ほんの一瞬すら、できなかったよ。





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