【完】キミと生きた証
簡単に思い浮かぶ、ちとせと初めて過ごしたクリスマス。


カラフルな電飾が飾るクリスマスツリーの下でお前に言ったのと同じセリフを・・・もう一度。





「俺、ちとせのこと・・・好きだ。」



あの日のようにカラフルな花壇が、俺たちを囲む。




ちとせは震える瞳で俺をみつめた。




「・・・でも、あたし・・。」



お前が言いたいことなんか想像はつく。


腎臓がどうとか、命がどうとか、迷惑がどうとか、俺の未来がどうだとか・・・。



もう・・・そんなことどうだっていい。




「許せよ。・・・もう俺は、あの頃とはちがう。俺は医者だ。お前の役にたってみせる。」




俺は小さな体を抱きしめた。



ちとせの手のひらが俺の背中をぎゅっとだきしめる。




ちとせがしゃくりあげるたびに、俺の体に振動が伝わる。
あったかくて小さな体。


今この腕の中にある。





「ちとせには十分”守られた”よ。だから、医者にもなって、こうやって・・・過ごしてる。」




ちとせは何度も腕の中で頷いた。


俺はその頭を、そっと撫でる。



・・・大切で大切で仕方ない、俺の初恋の人。




「十分守ってもらったからさ・・・今度は。




・・・”俺にちとせを、守らせて。”」





7年前の別れの日、言えなかった言葉。



あの日言わなかったことを、何度後悔したかわからない。








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