【完】キミと生きた証
けやきの駅
翌日、瞬が地元に帰ってきた。
数年ぶりの、けやきの駅。
今日はここで、瞬を待つの。
いつか行った、クリスマスツリーを見に行くために。
今日は12月24日。
真っ赤なマフラーを巻いて、瞬を待つ。
ガラガラと音をたてて開く待合室の扉。
相変わらず人が少なくて、相変わらずストーブの上にはヤカンが乗って、こぽこぽと音を立ててた。
曇ったガラスの内側で、あたしは懐かしい空間に浸ってた。
左の端っこ、特等席に座っていると。
ガラガラッ・・・!っと扉が勢いよく開いた。
やっぱり瞬だ。
「あはっ・・」
昔のまんま、乱暴な扉の開け方なんだもん。
つい笑うと、瞬も笑った。
あたしがあげたマフラーを巻いて、
風に乱れたきらきらの黒髪。
外されたピアスに、外されたネックレス。
前に見せてもらった白衣姿だって、すっごくサマになってるの。
ヤンキーの名残は、もう仕草だけかなぁ?
「なんだよ?」
「ううん。行こっか。」
あたしたちは自然に手と手を繋ぎ、クリスマスツリーを目指した。