【完】キミと生きた証
あたしは口もとに手を当てて、こらえきれない涙を流した。




サンタさんはあたしに駆け寄って、背中をなでる。


そしてあたしに、すっと、マイクを差し出した。



込み上げる嗚咽をこらえて、精一杯・・・瞬に届ける。




『・・あり、がとう・・・っ。』





会場中は、暖かい拍手であふれた。



瞬は会場中にお礼を言ってから、あたしのもとに来て、抱きしめた。




「・・・瞬・・。いいの?あたしなんかで・・・。」



「俺はちとせ「が」いいんだよ。何度も言わせんな。」




2回目のクリスマスみたいに、幸せからはじかれた隅っこじゃない。



幸せの真ん中で、おもいっきり抱きしめられていた。



瞬はあたしからぱっと離れると、青い箱を取り出す。



「手ぇだして。今度はどっちでもよくねえからな。・・左手。」



「・・・うん。」



あたしは頷きながら、左手を差し出した。


すっと薬指に入った、キラキラ輝くダイヤの指輪。



「・・・ふぇっ…、ありがとう・・・っ。」




会場の拍手は鳴りやまなかった。




瞬は照れくさそうにあたしの髪をくしゃりと撫でた。





「・・・泣くな。嬉しい時は笑え。」






瞬は・・・この世でたった一人、巡り合えた運命の人。



愛しくてたまらない、大好きな人。





・・・あたしは涙をこぼしながら、にーっと笑った。







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