【完】キミと生きた証
雪溶けのように
雪も溶けて、春が近づく頃。
明るい太陽が、指輪をきらきらと輝かせてくれる。
あたしは今日も、瞬の働く病院で検査をうけた。
「今日はこれで終わりな。お疲れ様。」
「ありがとうございました、武石先生。」
あたしがぺこりと頭を下げると、「はいはい」って照れくさそうにそっぽ向いて、パソコンに文字を打ち込んでいく。
・・・そんな瞬は。
ブルーのオペ着に、真っ白な白衣を身にまとって。
首から下げる聴診器。
サマになってるその姿、まだまだあたしには見慣れなくて。
まだまだあたしの胸は、どきどきと音をたてちゃうみたい。
「今日、お昼ごはん一緒に食べれる?」
「食う。」
「あはっ。ありがとう。じゃあお昼に食堂で待ってるね。」
「・・今日も小児の棟行くのか?」
「うん。絵本持ってきた。」
「そっか。つーか、俺も今のうちにトイレ行こうかな。」
「一緒に出よっか。」
あたしが見上げたすぐとなり、ふっと笑う瞬の優しい横顔があった。