私の王子様を見つけました
この街の何処にいるかわからないけど、立ち止まってなんかいられない。



バイトは休めないから、自分に気合いを入れてアパートを出た。



ボロアパートに住んで、食べるものも削って、身に着ける物だけにお金をかけて来たのだ。



この街にいる氷室拓斗にいつ出会うか分からないから、気合いを入れて歩いた。



前だけを見て歩く。



振り向いたりはしない。



「すみません、少しお話してもよろしいですか。」



思いきり振り向いてしまう。



「モデルさんですか。」



あなた、中々みる目があるじゃない。



コンビニのバイトに向かってるだなんて、言えないけど。



「今から仕事なんです。」



時間はとらせないからと、無理矢理カフェに連れ込まれた。



完全に遅刻だ。



店長に又怒鳴られるな。



彼女の名前は三枝木美奈さんと言って、通販雑誌の仕事をしているらしい。



ルシエルと言う通販雑誌は、私も良く利用している。



そのルシエル専属のモデルにならないかと、誘われたのだ。



驚きと嬉しさで声もでない。



時給800円のコンビニのバイトよりもお金にもなる。



今までもモデルのバイトはしたが、専属のモデルの話は初めてだった。



きっと最後のチャンスなるかも知れない。



氷室拓斗に会う前に生活をしっかり整えたいと思い、彼女から貰った名刺を便りに、次の日ルシエルの販売元を訪ねる事にした。



コンビニの店長に辞める事を伝えると、帰り際店長が一言いったのだ。



真凛は必ず俺の所に戻って来るさ。



それってどういう意味ですか。



























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