私の王子様を見つけました
スタッフみんなは分厚いコートを着てるし、拓斗はマフラーと手袋もしてるというのに。


三枝木さんに着替える用に言われて、海近くにあるプレハブの建物に入って着替える事になった。


着替える物は下着でなくて、服で安心したが。


「これは今年の冬服なの。社長が真凛さんをモデルにして、デザインしたものよ。」


拓斗が私をモデルにして、考えたデザインですか。


あり得ないです。


真っ白なニットのワンピース、お花のモチーフがふんだんについていて、胸元はかなり開いてる。


体の線がかなりはっきりと分かる物だ。


もしかして、雪だるまみたいにならないかな。


白いワンピースの上に、真っ白なコート、ブーツも白だ。


青い海と真っ白な服。


想像しただけでも綺麗なシルエットになる。


本当に私で大丈夫かな。



三枝木さんが鏡に写る私を見て、素敵だと言ったけど。


拓斗のデザインした服に恥じない用に今日も頑張ろうと思う。


寒い海での撮影も全く気にならなかった。


こんなに頑張った事は今まで一度もない。


いつも何かを諦めて、自分の殻に綴じ込もって、前を見て歩く事もなかった。


小さい事好きだった海も嫌いになり。


お日様のあたる外を歩かなくなったのは、いつからだったのかな。


少しだけ前に進めたような気がした。










< 34 / 61 >

この作品をシェア

pagetop