私の王子様を見つけました
お疲れ様の挨拶で冬服の撮影は終った。


最後に着たこの服は私のお気にいりになりそうだ。


厚めのレースを重ねた、淡いピンクのワンピース。


スーツバージョンもいいけど、私はワンピースが好き。


幼い頃、母が買ってくれたワンピースと似ていて、あの頃はお姫様にでもなった気分でいたんだ。


ピンクのワンピースを着てくるくると回ると、シャッターを切る音がした。


「そのまま好きなように動いて。」


拓斗に微笑みかけると、空を見つめながら歩いた。


太陽が眩しくて、空に片手をかざした。


暖かな太陽の光り、今までの私は。


太陽の光りが眩しくて、ずっと顔を背けて、誰にも会いたくなくて、上を向いて歩く事が出来なかった。


思わず涙が溢れる。


ポロポロ涙をこぼしたまま、カメラを持つ拓斗を見つめた。


拓斗に向かって両手を伸ばしてみたが、決して届かない距離に拓斗はいる。


そのまま振り向いて、拓斗に背を向けて歩いた。


こんなの私らしくないよ。

















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