私の王子様を見つけました
自分がかなりの方向音痴である事を忘れていた為、中々ルシエルがあるビルに着かなくて、もう焦りまくり、仕方なく名刺に書てある番号にかけた。



「はい。三枝木です。」



「すみません、加納ですが。」



ルシエルの場所が分からないと伝えると、直ぐに迎えに来てくれる事になった。



三枝木美奈さんが目の前のビルから出て来たのだ。



申し訳なくて、何度も頭を下げた。



「みなさんはお揃いなんで、中にどうぞ。」



みなさん?



えぇ、もしかして、モデルは私一人ではないと言うことですか。



面接する人が何人もいるだなんて、聞いてなかった。



「加納さん大丈夫ですか。昨日お話した内容を覚えてないようですね。」



ルシエルの専属モデルとして、雇ってくれると言うことではなかったのか。



勘違いもいいとこで、何人かの人の中からルシエルの社長が面接して決めるらしい。



しかもみんな私より年下。



25才の私が最年長だった。



みんなお肌プリプリで、もうこれは落ちたな。



コンビニの店長が言って事は、あながち間違いではなさそうだ。



悔しいけど、コンビニにもどろう。



面接前に落ち込んでいた。



「私の一押しは加納さんですからね。」



三枝木美奈さんありがとう。



嘘でも今は嬉しい。



そうだ。



諦めたらおしまいだ。



氷室拓斗を諦めないと、ここまで頑張って来たのだから。



勝負しない前に負けを認める訳にはいかない。



背筋を伸ばして、ルシエルの社長がいるドアを開けた。













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