私の王子様を見つけました
拓斗が目を覚ました。


「うるさい。もう少し寝ろ。」


ベットに引きずり込まれる。


どんなに暴れても離してくれない。


拓斗は上半身裸だった。


私たち何か間違いを犯したのか?


聞きたいけど、拓斗はそのまま寝てしまった。


拓斗に抱きしめられたまま10年前の事を思い浮かべ、私も目を閉じる。


夢の中の拓斗は本当に優しくて、ずっとこのままいれたらいいのにな。


でも、現実は甘くなくて、拓斗にたたき起こされた。



「いつまで寝てるつもりなんだ。飛行機の時間に間に合わなくなるぞ。」


そうだった。


今日は東京に帰らないと行けないのだ。


ベットの中で、起き上がれなくてもじもじしてると。


いきなり布団をはがされた。



「おまえの下着姿は何度も見てるだろ。気にするな。」


お仕事ではそうだけど、この状況だから、気になるんです。


さっさとしろと、服を投げられた。


本当に雑な扱いですね。


拗ねながら服を着た。


今しか言えないから。


「ごめんね。酔った勢いで部屋に来て、おまけに寝てしまっただなんて、本当にすみませんでした。」


拓斗は私を見ようとしない。


本当に怒っているのだなと思った。


この状態では聞きたい事も聞けそうにない。


このままでは今迄と同じ事の繰り返しになる。


例え仕事がなくなってもいいから、自分の思いをぶつけたい。


当たって砕けろだ。



よし、10年目の告白をするぞ。











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